面積6641km2というバンフ国立公園は、1885年にカナダ最初の国立公園として指定されたばかりではなく、アメリカのイエロー・ストーン、オーストラリアのロイヤルに次いで世界で3番目に古い国立公園として知られています。スキーリゾートとしても名高いバンフの町を中心に、レイク・ルイーズ、モレーン・レイク、ペイト・レイクなどの美しい湖や名峰が数多く存在します。特に夏期は世界中からの観光客が訪れ、自然の作り出すみごとな景観に息をのみ、あるいはトレッキングやカヌーなどのアクティビティに興じています。

カナディアン・ロッキーの観光拠点となるバンフには、バンクーバー、トロントなどからカルガリー国際空港(YYC)を経由して入るのが一般的です。カルガリーの空港からバンフまでは、国道1号線(トランス・カナダ・ハイウエイ)を西に約130km、所要時間はおよそ1時間30分です。空港ターミナルを出たらまず、カルガリー市街をめざして、Barlow
Trailを南に向かいます。約8kmで16th Ave.にぶつかるので、ここを「Trans
Canada Highway WEST」の表示に従って右折します。16th
Ave.をまっすぐ西に進んでいくと、やがてカルガリーの市街地を抜け、この道はトランス・カナダ・ハイウエイ(国道1号線)に名前を変えます。
カルガリー近辺は、標高は1000mほどあるものの、大平原の西の端にあるため、ロッキーの急峻な峰々は、まだはるか遠くに見えるに過ぎません。しかしハイウエーを30分も走ると、山々が次第に迫ってきて、カナディアン・ロッキーに来たことを実感することができます。キャンモアの町を過ぎたら、すぐにPark
Gateがあるので、ここで国立公園の滞在日数分の利用料を支払います(詳しくは「ドライブ旅行の基礎知識」を参照下さい)。
カルガリーからバンフ、レイク・ルイーズまではBrewster社のバスを利用することもできますので、レンタカーを使用しない場合は、こちらを利用することになります。

バンフ駅のホームに入ってきた観光列車「ロッキー・マウンテニア号」。

バンフ Banff
19世紀末に温泉が発見され、さらに大陸横断鉄道が敷かれて以来、カナディアン・ロッキーは次第に観光地として開発されてきました。今ではバンフはカナディアン・ロッキー最大の観光拠点となり、雄大な自然を満喫したり、トレッキングやゴルフなどの様々なアクティビティを楽しむ人々でにぎわっています。またバンフは洗練されたリゾート地で、ギフトショップやレストランも多く、町中をのんびり歩いても楽しい時間を過ごすことができます。人口およそ5000人という小さな町ながら、世界中からの観光客がおとずれるので華やいだ雰囲気のある観光地でもあります。
四方をカスケード・マウンテン(2998m)、マウント・ランドル(3030m)、サルファー・マウンテン(2285m)、マウント・ノーケイ(2134m)という山に囲まれた山岳リゾート地であり、バンフの町自体も標高1387mの高地にあります。バンフ市街の中心は、ホテル、レストラン、みやげ物店などが軒を連ねる大通り「バンフ・アベニュー」です。高緯度のため、夏は夜の9時を過ぎても明るく、遅い時間まで大勢の観光客がショッピングを楽しんでいます。バンフ・アベニューと交差する道路にはすべて
Bear, Elk, Mooseなど動物の名前がついていて、カナダらしい大変ユニークな町といえます。

バンフの町の入り口に立つウエルカム・サインとバンフ・アベニュー
カスケード・ロック・ガーデン Cascade Rock
Gardens
バンフ・アベニューを南に向かい、ボウ川にかかる橋を渡ると、正面に見える建物が国立公園管理事務所(Park
Administration Building)です。この管理事務所の庭がカスケード・ロック・ガーデンと呼ばれていて、
バンフでも最も有名なフォト・スポットの1つになっています。春から秋にかけては、園内の花壇に美しい花が咲き、背景に花壇とバンフ・アベニュー、さらに後ろにはカスケード・マウンテンの雄々しい姿が入った、おなじみのアングルで写真を撮ることができます。絵はがきや観光ガイドブックでも必ず目にする風景です。ボウ川に近いためか、夏の夕方は蚊がものすごく多いので(それも強力なもの)、虫よけスプレーを持っていくことをおすすめします。車で行った場合は管理事務所の駐車場に停めさせてもらうと良いでしょう。
おすすめ度 ★★★★

バンフ・スプリングス・ホテル Banff Springs
Hotel
1888年創業のフェアモント系ホテル。石造りの重厚な外観で名高い高級ホテルで、バンフでもシンボル的存在になっています。バンフ・アベニューを南に進み、公園管理事務所前を左に
(Spray Ave.)入り、約1km上った山の中腹に入り口があります。カスケード・ロック・ガーデンやボウ滝も近いので、宿泊しない人も訪れてみる価値があります。ティー・ラウンジやレストランはビジターでも気楽に利用できますので、アフタヌーン・ティーを楽しんでみてはいかがでしょう。世界的にも有名なゴルフコースを併設しているほか、プールなどの設備も充実している機能的なリゾート・ホテルです。
おすすめ度 ★★★

サプライズ・コーナー Surprise Courner
ダウンタウンからバンフ・アベニューを南に向かい、ボウ川を渡る直前で左曲、Buffalo
St.に入ります。Buffalo St.をボウ川沿いに約1km上ると、右手にサプライズ・コーナーが見えてきます。駐車場はこのコーナーの50mほど先にあります。サプライズ・コーナーはボウ滝のちょうど真上に位置しているので、下には水しぶきをあげているボウ滝が、正面には深緑の木々の中にそそりたつバンフ・スプリングス・ホテルの偉容が眺められます。ただちょっと目立たない場所なので、見落とさないように気をつけて下さい。
おすすめ度 ★★★
ボウ滝 Bow Falls
バンフ・アベニューを南に向かい、ボウ川を渡って公園管理事務所前を左に進みます。バンフ・スプリングス・ホテルに向かってSpray
Ave.を進むと左手に、Bow Fallsの案内が見えるので、指示に従って進みます。下りた先が駐車場になっていて、ここから徒歩でボウ滝に向かいます。またバンフ・スプリングス・ホテルからは遊歩道を下りていくことができます。マリリン・モンロー主演の映画「帰らざる河」の舞台となったことでも知られています。
落差は低いが、しぶきを上げて美しく流れ落ちています。このボウ滝のすぐ下からは、ゴムボートでボウ川を下る、約1時間のFloat
Tripに参加することができます。ガイドの案内(英語)を聞きながら、途中バンフ・スプリングスホテルや奇岩フードゥーズなども見ることができます。
おすすめ度 ★★★

ケイブ&ベイスン Cave and Basin
バンフの町が開かれるきっかけとなった、温泉が発見された場所。現在は国立の博物館として公開されています。洞窟の中を進んで行くと、温泉(温度は約30℃)が湧き出していて硫黄の匂いが立ち込めています。博物館はバンフ国立公園の歴史や、国立公園の自然保護活動を紹介する展示が充実しています。また周囲を散策するコースもあります。バンフ・アベニューを南に進み、ボウ川を渡って、公園管理事務所前を右に曲がり、この道路(Cave
Ave.)を進んだ突き当たりにあります。入場料は$2.5。
おすすめ度 ★★★

アッパー・ホットスプリングス Upper Hot Springs
サルファー・マウンテン・ゴンドラ乗り場のそばに、カナディアン・ロッキーの3つの温泉プールの1つ、アッパーホットスプリングスがあります。水着着用で入るプールで、老若男女さまざまな人が、ロッキーの雄大な景色を眺めながら温泉につかっています。お湯の温度は約40℃。年間を通じて入ることができます。

サルファー・マウンテン Sulpher Mountain
バンフの町を一望できる、標高2285mのサルファー山頂の展望台まではゴンドラで約8分で上ることができます。ゴンドラ乗り場は、バンフのダウンタウンから
バンフ・アベニューを南に進み、ボウ川を渡って、公園管理事務所前を左に、そしてすぐに右に曲がります。この道路(Mountain
Ave.)を上っていき、南に約3.5kmの場所にあります。左手にリムロック・リゾートホテルが見えたら、ゴンドラ乗り場はそのすぐ先にあります。山頂展望台にはレストラン、ギフトショップなどがあります。
おすすめ度 ★★★
http://www.banffgondola.com/default.htm
サルファー山展望台から眺めるバンフの町
バッファロー・パドック Buffalo Paddocks (現在は閉鎖されています)
乱獲され絶滅の危機に瀕しているバッファローの保護区。柵で囲われた1.6kmのルートを車で一周すると、運が良ければバッファローの姿を見ることができます。ただし日中はバッファローは木陰で休んでいるので、めったに見ることはできません。私たちは夕方2回行って見ることができず、3度目に朝に行ってバッファローを見ることができました。ただし安全のため、パドック内では車から降りることはできません。ダウンタウンから北東に約3km。バンフ・アベニューを北東に進み、トランス・カナダ・ハイウエイをレイク・ルイーズ方面に入って、2分ほど走ると右手にパドックの看板がみえます。ハイウエイには中央分離帯があるので、カルガリー方面の車線からは入ることができません。
巨大なバッファロー。岩ではありません。
バーミリオン・レイク Vermilion Lakes
バンフの北西に広がる湿地帯にあり、ファースト、セカンド、サードと3つの湖に分かれています。特にサード・バーミリオン・レイクの畔からは、マウント・ランドル
Mount Rundleの険しい姿を望むことができ、写真の撮影にはおすすめです。「バーミリオン」とは朱色を意味しており、特に夕日に照らされたマウント・ランドルの姿が湖面に映る景色は一見の価値があります。ダウンタウンからは
Gopher St.を北に向かい、トランスカナダ・ハイウエイに入る直前の道を左に曲がります。湖は手前からそれぞれファースト、セカンド、サードと続いています。湖畔は遊歩道があり、散歩やサイクリングができますが、夕方は蚊がものすごく多いので、虫よけスプレーが必要です。
おすすめ度 ★★★★

レイク・ミネワンカ Lake Minnewanka
長さ24km、幅3.2kmの湖で、バンフ国立公園中唯一モーターボートの使用が許されている人造湖です。またこの湖はマス釣りのメッカとしても知られています。5月〜9月までは、約1時間30分のクルーズも楽しむことができます。ミネワンカとは先住インディアンの言葉で「精霊」を意味しています。バンフのダウンタウンからバンフ・アベニューを北東へ約10kmの場所にあり、トランス・カナダ・ハイウエイ
Trans Canada Highwayを横切ってまっすぐ進みます。余裕があればレイク・ミネワンカとつながるトウ・ジャック・レイク
Two Jack Lakeにも足を延ばしてはいかがでしょうか。
おすすめ度 ★★

ボウバレー・パークウェイ Bow Valley Parkway
バンフからトランス・カナダ・ハイウエイを西に進むと、まもなくボウバレー・パークウェイ(Bow
Valley Parkway)へ入るジャンクションがあります。この道路は大型車の通行が制限されたり、制限速度が低く抑えられているているため車の通行量が少なく、野生動物の出現頻度が高いことでも知られています。
キャッスル・マウンテン Castle Mountain
バンフからトランス・カナダ・ハイウエイを西に約30km進むと、キャッスル・ジャンクション(Castle
Junction)があります。ここはトランスカナダ・ハイウエイと、ボウ・バレー・パークウエイ(Bow
Valley Parkway)とのジャンクションになっています。ジャンクションの近くにある「キャッスル・マウンテン・ビレッジ」はキャッスル・マウンテンを眺めるには絶好の場所です。ガソリンスタンドやおみやげ物を売っている小さな店があります。
おすすめ度 ★★

レイク・ルイーズ Lake Louise
→アイスフィールド・パークウエイのページへ。
モレイン・レイク Moraine Lake
→アイスフィールド・パークウエイのページへ。
ボウ・レイク Bow Lake
→アイスフィールド・パークウエイのページへ。
ペイト・レイク Peyto Lake
→アイスフィールド・パークウエイのページへ。
クロウフット氷河 Crowfoot Glacier
→アイスフィールド・パークウエイのページへ。
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