ケベック・シティはフレンチ・カナダの歴史と伝統を感じさせる静かな街です。1535年にフランス人探検家、ジャック・カルティエが訪れて以来、フランスの植民地として発展し、現在も住民の90%以上がフランス系といわれています。城壁に囲まれた旧市街はカトリックの教会や聖堂が並び、石畳の通りをカレーシュ(Caleche)と呼ばれる観光馬車が音を響かせて行き交っていて、中世ヨーロッパの面影をしのばせています。北米唯一の城塞都市であるケベック・シティはユネスコの世界遺産にも登録されています。ケベック・シティの人口は約65万人です。
見どころの多くは城壁の内部と、セントローレンス川に沿ったロウアータウン周辺に集中しているので、歩いて回るのがおすすめです。郊外の見どころには、レンタカーを使って行くか、グレイライン社などのツアーに参加するのが便利です。

ケベック国際空港まで、トロント、モントリオールからの空路を利用することができるほか、鉄道(VIA)でケベック・シティに入る方法もあります。ケベック国際空港は市街地の西約15kmにあり、タクシーで約30分(約$25)で市街地まで行くことができます。
またVIAのパレ駅(Gare du Palais)は、城壁の外側の北部に位置しています。タクシーでも行けますが、徒歩でも15分程度で歩くことができる距離です。VIAを利用する場合、モントリオールからの所要時間は約3時間です。市内、とくに旧市街の観光には徒歩が最も良いでしょう。旧市街は狭い道が多く、車の通行にはやや不便を感じます。
シャトー・フロントナックホテル Le Chateau
Frontenac
ヨーロッパの古城のようなたたずまいのシャトー・フロントナック・ホテルは
1892年の開業で、各国の要人も宿泊するという由緒あるホテルです。レンガに覆われた重厚な外観はケベック・シティのランドマークとして知られており、街のあちこちから見ることができます。泊まらなくても一度は訪れてみたいホテルです。ホテルの前は各種観光ツアーの起点にもなっています。
旧市街地の中心部から、ややセントローレンス川寄りに位置しています。またホテルの裏側にある公園は、「知事の庭園
Jardin du Gouverneur」と呼ばれている公園です。
おすすめ度 ★★★★

テラス・デュフラン Terrase Duffelin
シャトー・フロントナック・ホテルのそばにある、幅広い板張りのテラス。長さ約400mのボード・ウオークは、大勢の人が散策しています。このテラスからはセントローレンス川や、遠くオルレアン島を望むことができます。芝生にはいくつもの大砲が並んでいて、街を守っていた当時の様子がしのばれます。
おすすめ度 ★★
知事の散歩道 Promnade des Gouverneurs
テラス・デュフランから戦場公園に向かってのびている遊歩道。テラスから約300段の階段を上がり、登りきったところにはシタデルの城壁があります。このシタデルからは、なだらかな起伏の戦場公園を見渡すことができます。
おすすめ度 ★★

【テラス・デュフラン】 【知事の散歩道で紅葉のなかを歩く】
プラス・ダルム(ダルム広場) Place d'Armes
シャトー・フロントナックそばにある、旧市街の中心となる広場。中央には噴水があり、1608年にケベックに入植したシャンプランの銅像も建っています。この公園からセントローレンス川の方を見ると、正面に観光案内所があります。
おすすめ度 ★★
トレゾール小路 Rue du Tresor
別名「画家の小路」とも言われている細い路地です。その名の通り、長さ
100mほどの狭い通りの両側には、若い画家が自作の絵や版画を並べて売っています。シャトー・フロントナックなどのケベックの名所を描いた銅版画は数ドルぐらいからあるので、旅の思い出に買っていくのもおすすめです。
おすすめ度 ★★★
ローワー・タウン Lower Town
プラス・ダルムからローワー・タウンまでは、階段を歩いても下りられますが、観光案内所の横から「フニキュラー(Funiculaire)」とよばれるケーブルカーでも、あっという間に下りることができます。料金は片道$1(1996年秋)。
城壁に囲まれた旧市街地がアッパー・タウンと言われるのに対して、セントローレンス川の河岸にあるローワー・タウンは一段下がっていることから、そうよばれています。ローワー・タウンのメインストリートとも言える通りが「プチ・シャンプラン通り(Quartier
du Petit-Champlain)」で、両側にはブティックやギフトショップなどが建ち並ぶ、賑やかなショッピング・ストリートになっています。
おすすめ度 ★★★★

サン・ルイ門 Porte Saint-Louis
新市街のグランダレ通りから城壁に入る門。グランダレ通りはパリのシャンゼリゼ通りにも例えられることがあり、両側にホテルやレストランが並んでいる、ケベック・シティの中心となる通りです。またサン・ルイ門のやや北側には、サンジャン門があり、旧市街のサンジャン通り(Rue
Ste-Jean)につながっています。サンジャン通り沿いにもカフェやギフトショップがたくさんあります。
戦場公園 Parc des Champs-de-Bataille
セントローレンス川に面した起伏のある芝生の公園。1759年に英仏軍の戦場となった場所で、現在公園内には犠牲者を弔う碑が建っています。
シタデル La Citadelle
サン・ルイ門から城壁の中に入り、すぐの通りを右に曲がると、突き当たりがシタデル(ケベック城塞)の入り口です。この城塞は1820年代に建築されたものですが、現在も実際の軍事施設として機能しているものです。ガイドツアーで内部を見学することもできるほか、夏期には衛兵交代式も見ることができます。内部見学はガイドツアー参加のみで、一般の単独見学はありません。
おすすめ度 ★★★
州議事堂 Hotel du Parlement
城壁の外側(西側)にある建物で、ケベック州の州議事堂になっています。城壁との間にある細長い公園はエスプラナーデ公園(Parc
de l'Esplanade)です。
おすすめ度 ★★
ケベック・シティ郊外のこれらの見どころを回るには、レンタカーを利用するかグレイライン・ケベック社のバスツアーに参加するのが便利です。ツアーの参加は電話で申し込むか、カウンター(ヒルトン・ホテルのロビーにあります)で申し込みます。前日ぐらいまでに電話で予約できれば良いでしょう。ツアーのガイドは英語とフランス語で行われます。主なツアーコースは以下のとおり(内容・料金は1996年のものです)。
1.ケベック・シティ市内観光 $19.95 2.5時間
1A.ケベック・シティ市内観光 $13.25 1.5時間
1B.ケベック市内+セントローレンス川クルーズ $32.5 3時間
2.サンタンヌ・ド・ボープレ教会、オルレアン島、モンモランシー滝 $29.95 4時間
3.市内観光+オルレアン島、モンモランシー滝 $44.9 7.5時間
・・・他にもたくさんのコースがあります。
王の道 Avenue Royale
旧市街の北にあるボーポール(Beauport)地区から東にのびる国道360号線の別名。北米最古の公道として知られ、現在でもケベック・シティ以東の交通の要になっています。
オルレアン島 Ile d'Orleans
セントローレンス川に浮かぶ大きな川中島で、周囲約70km。約5000人の人が住んでいます。ケベック・シティから国道360号線を北東に約10km進み、島に渡る唯一の橋から島に入ります。島内は18世紀の開拓当時の面影を残していて、畑やメープルの林、また牧場に牛などが放牧されている、のどかな田園風景が広がっています。秋の紅葉時期は特に美しい風景を見ることができます。春にはメープルシロップを作る作業も見学できるようです。
おすすめ度 ★★★
モンモランシー滝 Chute-Montmorency
ケベック・シティから北東に約12kmのところにある落差83mの滝。モンモランシー川がセントローレンス川と合流する地点にあり、その高さはナイアガラを上回ります。ケーブルカーで滝の上に上ると遊歩道があり、滝を真下に見下ろす吊り橋まで歩いていくことができます。
おすすめ度 ★★★
サンタンヌ・ド・ボープレ教会 Basilique Ste-Anne-de-Beaupre
モンモランシー滝の先にある教会で、北米三代聖地の1つです。北米各地から大勢のカトリック信者が集まるといわれています。ケベック・シティから東に約40km。
おすすめ度 ★★

|